ジム・トンプスン

 

ジム・トンプスン読んでた。

昔、扶桑社が翻訳出してて、そんでここ数年は文遊社ってトコが何冊も出版してる。まぁ扶桑社が先にもう目ぼしい作品(『死ぬほどいい女』とか)やっちゃってて、文遊社はその余りモノの紹介って感じで、だからすげぇ面白い、とかじゃないけどそれはそれとして読んでる。トンプスンちょうどいいんだよな。コーマックマッカーシーとかは読んでて「スカしてんじゃねぇぞ」とか思うんだけど、トンプスンは安っぽくてイイ。ヒロインのちんけな台詞とか主人公が妙にヘタレとタフガイのキメラって感じだったり全体的にあんま伏線効いてなくて最後の最後に急展開! 終わり! みたいな雑な流れとか、でもまぁ人生こんなもんですよね、的な謎の説得感っつーか。別にこれでいいよなっつーか、小説ごときでそんな凝ってもしょうがねぇだろ、みたいな。人生ごとき、別に有意義にならなくたっていいだろ、みたいな。

 

 

天皇

 

原武史読んでた。何冊か。久々。

このヒトの天皇関連の話がイイのは、天皇とか皇后とかその他諸々の皇族、個々の「個性」を見ようとしてるってコトだ。いや当たり前だろ、って感じだけど、でも意外とこれが難しい。別に俺みたいな素人に限らず、研究者とかモノ書きでも天皇を「システム」として見る、みたいなやり方はすげぇ多い。

 

大学のとき、授業で折口信夫の「天皇霊」ってネタ聞いてめっちゃ面白かった。要するに代々の天皇は即位すると儀式で「天皇霊」ってモノを取り込む、その天皇霊ってのは大昔から不変の唯一の何かなんだ、みたいな話で、つまり個々の天皇ってのはその憑代でしかなくて、つまり要するに、生身、各天皇の個別のパーソナリティーなんてもんは有って無きがごとし、的な。あと三島由紀夫伊勢神宮遷宮――神社の本体20年ごとにぶっ壊して作り直すってやつ――の話も。要するに建物、モノ自体、「ガワ」に意味はなくてどうでもいいってのが天皇制の、日本の昔っからの価値観なんだ的な話で、まぁつまりだから個々の天皇って「ガワ」の話をあれこれしてもしょうがない、大事なのはそこを貫く、歴史を超えた「システム」を見抜いて論じることなんだ、的な。20歳ぐらいでこういう本読んだりするとコロッとなびく。ヒトじゃなくて仕組みについて考えるのがカッコいいんだ! 的な。要は厨二病網野善彦とかもそういう需要だよな。高校のとき司馬遼太郎の「こいつは有能でこいつは無能」とかって文体、人物評読んでほくほくしてた俺みたいなのは特に「天皇霊」って概念にすげぇハマる。信長が日本史上で3本ぐらいの指に入る為政者、とかって点数付けしてる司馬、を読んでたアホな自分への反動で「システム至上主義」になる。

 

で、原武史はその解毒剤になる。「天皇霊」にハマってるヤツらへの。いや普通に、個別の天皇や皇族がそいつらなりに天皇制ってモノをどう解釈してどう運営したかってのをちゃんと見ようぜと。ヒロヒトとアキヒトじゃ明らかに沖縄への態度違うからな、とか。天皇制の本質は~とか大雑把なこと言ってんじゃねぇよと。まぁ落ち着けよと。だから原武史の良さってのは、多分一回「天皇霊」云々でこじらせたヤツらの方が強く感じる。ありがたや。

 

これも良かったな。自分の小学生のときの日記とか引用してて、で、それ読むともうガキの頃からアタマいいな、みたいな。おぉ自我がある、みたいな。俺が12歳の頃ってもっとこう、猿とかに近いあれだった気がするけど。

 

 

玉木宏

 

『JUDGE EYES』と『LOST JUDGMENT』クリアした。龍が如くVer.キムタク。いやぁまさか31にもなって毎週毎週徹夜でゲームやるとは。完全なバカです。

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特に2作目、『LOST JUDGMENT』が良かった。話は辛気臭くて説教臭いけどそんなことよりとにかく敵役の玉木宏がカッコ良すぎる。玉木宏だけでお釣りがくるゲーム。完璧に玉木宏のファンになった。

 

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作中のムービー、これの21分10秒あたり、「正義を実感しながら彼女を殺したよ」の言い方が最高すぎる。なんだこの圧倒的なねっとり感は。俺が女だったら確実に潮吹いてる。

 

まぁ不満なのは服装あんま変えられないトコだな。衣装は割と何着も用意されてんのに特定のミッションとかでしかコスチューム変更できなくてせっかくの木村拓哉なのになんだよこのお預け、みたいな。この忍者衣装とか最高なのに。

 

あとサイドストーリーの変態三銃士(1作目)、変態四重奏(2作目)は良かったなぁ。パンティ教授、お尻マイスター、デバガメ判事、ジャイアンインパクト…。サイドストーリーって何個も用意されてるから結構手抜きシナリオっぽいのも多かったけど、これは確実に気合入ってたな。

 

 

アサルトスパイ

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『アサルトスパイ』ってゲームやった。めっちゃおもしれー。操作簡単で動き速くてバシバシカッコよく戦えるゲーム。

 

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今までやったアクションゲームで一番面白い。個人製作のインディーゲームってことで、まぁ普通に考えりゃデビルメイクライとかベヨネッタの亜種、劣化版なんだけど、でもデビルメイクライって見ててもあんまピンとこねぇんだよな。このアサルトスパイはたまたま動画見て面白そうって思って、そんでやったら本当に面白かった。ベヨネッタは昔やってたけど、全然アサルトスパイの方が面白くて気持ちイイ。

 

敵とか置物とか諸々使い回し、グラフィックも貧弱、だけどなんつーか、それでも面白い。謎解きとかほぼ無くて戦闘→直進→戦闘→直進の繰り返しってのがリズム感出てんのかな。とにかくマジでいい。

 

話もイイ。コメディ路線で、湿っぽさが1ミリもないのが良すぎる。最後ちょっとメタフィクションって感じで、でもドヤ顔っつーか鼻につく感じがなくて、超スマート。要は「キャラ」の同一性、みたいな。世界が書き換わってもオレはオレ、お前はお前、みたいな話なんだけど、そのオチが、なんつーか全然小賢しくないのがすごい。感傷も洒脱も振りかざさないメタフィクションってこんなにイイもんなんだな、みたいな。メタフィクションとか嫌いってヒトほどこれはグッとくるんじゃねぇかな。

 

キャラもいい。みんなイイけど特に裏主人公のアメリアがめっちゃカワイイ。惚れる。やってるうちに惚れてく。あー最高。

 

難点はボリューム少ないこと。10時間ぐらいで終わる。そんで続編とか出る気配微塵もないこと。もっとこいつらがわちゃわちゃヤッてんの見たい。

 

 

 

作者、新作開発中っぽい。アサルトスパイ、の続編じゃなさそうだけど、でもアクション自体は正統かつ超進化形って感じですげぇ面白そう。タイマン戦闘だけならドラゴンボールのゲームがこんな感じだけど、ザコ敵とかもいてこのスピード感はかなりヤバいだろ、マジでこんな動きできんのか、まさかQTEって騙しじゃねぇよな、みたいな。早くやらしてくれー。

 

 

インスクリプション

『インスクリプション』やった。いやぁまさか31になって夜通しゲームやるとは。完全なバカです。

 

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要はカードゲームをダシにしたメタフィクション。ってかクリアしても中身ほとんど分からん。ヤバいモノがあって主人公がヤバいことに巻き込まれて最後死にました、みたいな。とりあえずクリアしてwikiとか考察サイト見て「あぁー」とか「ほぉー」とか「へぇー」ってなってるトコです。

 

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ゲーム内、ってかゲーム内ゲームのキャラたちがカードゲーム大好きっ子でした、みたいな。自分たちの世界が滅びていって自分たちも死んでく中で、最後にやりたがってんのが、そんで実際やってんのがプレーヤー(っつーか主人公)とのカードゲームで、まぁ、感動的だったな。いやこの程度のストーリー、ってか描写すら考察サイト見るまで分かってなかったけどな。やってる最中はもうマジで何ひとつ分からんかった。まぁ俺はかなり鈍い、アタマ悪い方だとは思うけど。

 

これ、レビューとかゲーム記事の紹介とかで「ネタバレ厳禁!」みたいな言われ方散々されてたけど、別にそういうあれじゃないと思うわ。ってかこのゲームに限らずだけど、「ネタバレ厳禁!」みたいな言い方で作品を持ち上げんのは、なんつーか広告代理店だけでいいだろ、俺らがそこに乗っかる必要ないだろ、みたいな。俺ら一般人がそういうはしゃぎ方すんのは、むしろその作品を損なってる気がする。ダサい。最近RTAの動画とか好きでよく見てるけど、なんか「この作品はド●クエの影響を…」「それ以上は言わない方いいっすよww」みたいなやりとり、要は自主規制ごっこ、テレビとか影響力でかいもんの猿真似のやりとりしてたりすんのがすげぇウザい。はっきりドラクエって言えよ、ポケモンって喋れや、みたいな。要するに俺らってすぐ「でかいモノ」の真似をしてしまう、そいつらの「言い回し」でしか喋れなくなるんだな、みたいな。くそだよくそ。

 

 

記憶と身体

 

今年の高校野球、1番おもしれーって思ったのはこの話だった。記憶喪失になった選手の話。

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高2の夏にアタマ打って中学以降の記憶失くして、野球も一気に実力落ちたけど頑張って3年の夏にレギュラーで活躍しました的な話。

 

 野球の記憶も、小学校の軟式野球で止まっていた。

 一緒に練習してきたはずの仲間の顔と名前が思い出せない。

 グラウンドに復帰したものの、打席に立てば「見たことのない」変化球や、「速い」直球に戸惑った。

 

要するに興味深いのは、記憶と「運動神経」がどんぐらい連動してんのか、みたいな。身長体重筋力、そういう数値的なもん、単純なフィジカルは当然記憶失くしても持続して、で、じゃあ俗にいう「運動神経」ってどうなんだと。「身体が憶えてる」的なもんが。記事だと「見たことのない変化球」、「速い直球」とかってことになってるけど、それはどの程度のもんとして感じてんのか、つまり本当に本当の少年野球のガキが感じるレベルの驚きなのか、あるいは、どっかに何かの「蓄積」が残ってて、それで多少はその驚きが緩和されてるもんなのか。つまりこの選手の「運動神経」っつーか野球の経験値は、記憶喪失でゼロになったのかどうなのか。記憶、ってかアタマのその特定の部位が、そういう細かい運動のコトまで司ってるもんなのか。

 

記憶喪失から1年かけてレギュラー獲得、ってのも微妙な時間なんだよな。すげぇ早いっちゃ早い気もするし、でもまぁあり得るっちゃあり得るって言えなくもなさそうな感じが。小学校6年生が高校球児の身体に憑依して、それで半年とか1年でバリバリ試合でやれるようになるのかどうか。小学校6年生が高校球児の身体に憑依する、みたいなのと記憶喪失ってのがどんぐらい違うもんなのか。

 

これ途中で読むのやめてたけど、ちゃんと読んだ方がいいかな。脳の話っていっつも興味続かねぇんだよな。上の話も明日ぐらいにどうでもよくなってる気がする。

 

 

漱石

漱石のアンソロ、ホラーっぽいの集めた文庫本読んでる、けど進まねー。眠くなる。いや前からそうだったけど漱石、ってか昔の本ってだいたいそうだけどあんまバシッとこねぇっつーかテンション上がんねぇっつーか眠い。文字多くて描写長くて俺でも分かるようなオチがなくて、お、おう、みたいな。いや「夢十夜」とかはめっちゃ好きだし、たまにそういうのもあるから「つまんねー」って切り捨てもしづらい、みたいな、そういうヤツだよ漱石は、みたいな。

 

中学のとき初めて漱石読んだ。教室の棚に3冊ぐらい文庫本あって1冊が『こころ』だった。昼休みとかホームルームのときにちまちま、なんつーか、単に読んでたな。つまり面白いとか思ってなくて、カッコつけで読んでるわけでもなくて、でも読んでたな。別に面白くはなかったけど、その面白くないって意識もあんまなくて、なんつーか、今でも割と、あの読み方、感覚を求めてる気はする。意味がないまま読む、みたいな。面白いとか面白くないとか思いたくねぇ、読んで何かを思いたくねぇ、そういう「刺激」に本ってモノを貶めたくねぇ、ただ時間だけが流れてろ、読むうちに、何もかも過ぎていけ。手遅れになっちまえ。