屠殺

 

役場で働いてた頃、同じ部署に中学の同級生、の父親がいて、酒の席でそのヒトの昔の話を聞いてて、若い頃そのヒトは町のリゾート施設で働いてて、で、一時期そこでニワトリを殺したりしてた、とかなんとか。客のメシに出す鶏肉、のためにニワトリの首を毎日刎ねてたとか。

 

刎ね方にもけっこうコツがあるらしくて、やり方が下手くそだと切る瞬間にものすごい血が飛び散るらしい。慣れてくるとスッと、静かに、一瞬で、血をまき散らさずに、血を浴びずに殺せるようになる、とかなんとか。まぁでもなんだかんだ、やっぱメンタル的に割とタフな仕事だったわ、とかなんとか。ぷつりと首を刎ねて、胴体が落ちて、指先でアタマだけを掴んでる、アタマだけが自分のその手に残ってる、その瞬間ってのがなかなかしんどかった、とかなんとか。

 

ランボー』観てたら思い出した。俺なら一瞬で気絶して速攻クビになってるな。俺からしたらランボーぐらい勇者だわ、あのヒトも。