鉄の月を飲んだ

 

俺は鉄の月を飲んだ
ネジだよネジ

 

俺は工業排水を飲んで失業届を飲んだ
青春は夭逝、機械にかじりついたまま

 

俺は労働を飲んだ、俺は貧困を飲んだ
歩道橋を飲んだ、この錆び切った人生を飲み込んだ

 

俺はもう飲めない
飲んだもの全部が喉までせり上がってる

 

俺はこの国にあふれてる
しけた詩だ

 

                                  (許立志)