國保陽平

甲子園と令和の怪物 (小学館新書)

 

ぱらぱら読み返してたけど、やっぱイイ。佐々木朗希を予選の決勝で投げさせなかったことについて、当時の監督(國保陽平)が、

朗希本人に相談したら、『投げたいです』と言うのは明らかだった。野手に伝えたら、『僕らが朗希をサポートするので、投げさせてやってください』と言うに決まっています。一言でも彼らに相談したら、(佐々木の登板を)止められなくなると思いました。

とか言ってて、今まで読んできたスポーツ絡みの言説でマジで一番感動的だと思った。ピッチャーがそう言うだろうってのはまぁともかく、野手、周りの「有象無象」の言葉、「訴え」のシミュレートがもうすげぇ生々しくてマジですごいな、みたいな。高校球児の、っつーか人間の、ガチで真摯ではあるけど陳腐で実際問題くその役にも立たない言葉ってモノを、人間はこんな感じで意味の、中身のない言葉を大真面目にほざいてしまうってこと、そんで、言われたが最後、その言葉に何の中身もなくても、ヒトはそれにほだされて流されちまうってこと、それをほんとに、この監督は死ぬほど知り尽くしてんだなって感じで、しかもちゃんと、現実でその陳腐さに対処して封じ込めてて、マジで人生何周目? みたいな。野球の指導者として先進的、って次元じゃなくて、そもそも人間として相当先行っとる、完璧周回遅れにされてるわ、みたいな。