友だち

 

いつも腰を押さえてる

ひと山幾らのあんた

他のヤツには10か月目の妊婦みたく見えてる

出稼ぎの暮らし

昔の話をするとき、あんたはいつも笑ってる

けど無理だ、顔に書いてる

7年前、あんたは意気揚々、ここに来た、深圳のここに

そんで待ってたのは冷たくて暗い夜、一時滞在許可、クサいメシ

出だしでコケて、あんたは世界一のくそ大工場で働き出す

立って、ネジ締めて、夜通し残業、塗って、でかして、磨いて、詰めて、送って一丁上がり

1日1000回、腰を曲げて伸ばして

山積みのブツを床中引きずって

伏線はあって、でも気づけなかった

痛くて病院行ったら「椎間板ヘルニア」、とかなんとか

その痛み、そんで昔の話をするとき、あんたはいつも笑ってる

俺たちみんな、あんたの明るさに救われてたけど

でも正月、あんたは酔ってて

右手に酒、左手、指を3つ立てて、泣いて言った

「30で独身で童貞で底辺仕事

 終わってるわ」

                                  (許立志)