焚書

 

「(…)一例として、640年にアレキサンドリアを制圧した第二代カリフ・オマールの言葉を引く。彼は同市の図書館に残された多数の文献を、ほぼ6ヶ月にわたって風呂の焚きつけ代わりに燃やし続けた。このときカリフが吐いた言葉は次のようだった。

「図書館にある書物は、コーランと一致する内容のものか、さもなくば一致しないもののどちらかである。前者の場合なら、コーラン一冊があれば事足りる。後者の場合は偽りを記した有害な書物である。したがってどちらの場合も燃やしてしまうのが適当である」」

――『パラノイア創造史』(荒俣宏