工場のドア

 

お前は二度と帰ってこないね。

お前がドアに入っていくのを見送って、おれはさよならと言うよ。

お前を呼び待ち構えている、望みのない開いたドア、

そこからお前を連れこむドア――1日何セントなんだ?

ねむたい眼と指に対して、いったい何セントになるんだ?

 

おれはさよならを言うよ、あれがお前の手首に穴をあけるのを知っているから、

毎日毎日、暗闇の中、静寂の中で、

それでお前の身体じゅうの血は一滴ずつ流れ出る、

それでお前は若者になる前にもう老いてしまうんだ。

お前は二度と帰ってこない。

  ――「工場のドア」(『シカゴ詩集』カール・サンドバーグ