読んだ。初期のバウハウスが作ってた日用品とかの紹介本。100ページぐらいしかないけど。
「目的に合ったデザインで作りましょう」ってのがルールで、要するに椅子なら座る、ポットなら飲み物を入れるってことだけを追求するぜ、みたいな。その目的に関係ない装飾とかは全消しで、みたいな感じで、まぁ椅子もポットも机も書棚もコップもほとんど全部「ほーん」って感じで、要するに今だともう当たり前になってるデザインで、まぁそうっすよねーってテンションで、でも唯一面白かったのはチェス。チェス駒のナリ。
ルークは直角で動くから立方体、クイーンは自由に動けるから球形、って作りで、お、おう、みたいな。戦争ごっこ、殺し合いっていう「起源」をはぎ取って単なる立方体とかが動いてるだけの世界。余分な装飾を一切削ぎ落としました、「本質」だけがここには残ってます(キリッ、的なカッコよさってのは分かるんだけど、でもそこまでいくとそもそもチェス自体やらなくてよくね、チェスをやるって行為自体がまず「贅肉」じゃね? みたいな。極限まで無駄を消して隙なくしたら逆にツッコミどころ出てきたよ、そんなに無駄、なくしたのにチェスをやるっていう大前提の無駄は捨てられないのかよ、なにその半端さ、根性入ってねぇな、みたいな。1個ぐらい隙、ってか飾り、ってか「遊び」、残しといたほうがむしろ笑われずに、ツッコまれずに済むだろ、みたいな。
このチェス、今でもどっかの会社が普通に作って売ってるらしい、けど値段10万超えててマジかよ、みたいな。バウハウスがこういうシンプルなデザインに命かけてたのってそれが大量生産されて安く売られて誰でも手に入れられるようにってのが理由だったのに、この価格設定は全力でその理念裏切ってるだろ。完全にスカした贅沢品だろこれ。今、これでチェスやってたら二重の意味で間抜けだな。