ウェルズ(ボルヘス)

 

「(…ウェルズは)自分の想像が実現不可能なのを誇っていました。つまりウェルズは、宇宙を飛ぶ機械ばかりか、わたしたちより速く時間を旅する機械もありえないと確信していました。透明人間もありえないと信じていましたし、月に人が立つこともありえないと思っていました。そして自分の想像力を自慢していました。でも今現実はそれを否定し、ウェルズが空想と信じたものはただの予言になりました。ウェルズは予言者以上のものではなかったのです。」

――「人類月に立つ」(『記憶の図書館 ボルヘス対話集成』p376)